『プレシジョンメディシンの実現』に挑む

免疫ゲノム研究センター

プレシジョン免疫プロジェクトでは、
免疫学・ワクチン学に基づいたプレシジョンメディシンの実現を目指しており、
若年層から高齢者まで多くの人の健康に研究成果を還元することをミッションとしています
(※プレシジョンメディシン:患者一人一人に最適な治療を行う医療)

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WORKS

新たな免疫因子の発見と治療に繋がる研究を

Background
新たな免疫因子の発見と治療に繋がる研究を

ヒト臨床検体等の解析により、感染症やがんに対する新たな免疫因子を見出し、新規ワクチンや治療法開発に繋げることを目指しています。
特に、個々人の免疫学的差異を踏まえたトランスレーショナルリサーチを重視しています。
例えば、免疫老化現象が進行した高齢者では「がんや感染症を併発するリスクが高い」「ワクチンの効果が十分でない」という報告があります。
異なる年齢群、あるいは疾患毎の個々人の免疫学的背景を理解し、現在の診断や治療における問題点・課題点を抽出し、個別化・層別化医療に向けた技術基盤の確立とその技術基盤の活用による新規ワクチンや免疫療法、診断バイオマーカー等に開発を進めていきます。

高次免疫学的解析プラットフォームの整備

Section.1
高次免疫学的解析プラットフォームの整備

ヒトの複雑な免疫系の特徴を理解し、問題点等を抽出するためには、これまで以上に高度な解析基盤が必要だと我々は考えています。
そこで、当研究室では、個人ごとの免疫系や免疫原に対する応答の違いを多角的に、高解像度で解析可能な、世界トップレベルの解析プラットフォーム(高次免疫学的解析プラットフォーム)を整備してきました。
上記プラットフォームを活用し、多様なヒト臨床検体の解析から現状のワクチンや治療法の課題を抽出し、その課題を解決するような新規治療法あるいは診断バイオマーカーを、げっ歯類や非ヒト霊長類などによる非臨床試験においてin vivoレベルで検証を行い、願わくば臨床に還元したいと考えています。

個々人の免疫学的差異を踏まえた創薬研究

Section.2
個々人の免疫学的差異を踏まえた創薬研究

ヒト臨床検体と動物モデルとしての遺伝子改変マウス、非ヒト霊長類サル検体をside by sideで比較検討しながら、ヒト臨床応用に直結するような免疫学的解析系の構築、バイオマーカーの探索、ならびに新規予防、治療法の確立などの展開を目指しています。大きくは、がん関連研究と感染症関連研究を柱としています。

SELECTED PUBLICATIONS

Safety and immunogenicity of SARS-CoV-2 self-amplifying RNA vaccine expressing an anchored RBD: A randomized, observer-blind phase 1 study

Akahata W, Sekida T, Nogimori T, Ode H, Tamura T, Kono K, Kazami Y, Washizaki A, Masuta Y, Suzuki R, Matsuda K, Komori M, Morey AL, Ishimoto K, Nakata M, Hasunuma T, Fukuhara T, Iwatani Y, Yamamoto T, Smith JF, Sato N. Cell Rep Med. 2023 Aug 15;4(8):101134.doi: 10.1016/j.xcrm.2023.101134.

saRNA vaccine expressing membrane-anchored RBD elicits broad and durable immunity against SARS-CoV-2 variants of concern.

Komori M, Nogimori T, Morey AL, Sekida T, Ishimoto K, Hassett MR, Masuta Y, Ode H, Tamura T, Suzuki R, Alexander J, Kido Y, Matsuda K, Fukuhara T, Iwatani Y, Yamamoto T, Smith JF, Akahata W.Nat Commun. 2023 May 19;14(1):2810. doi: 10.1038/s41467-023-38457-x.

Post-fusion influenza vaccine adjuvanted with SA-2 confers heterologous protection via Th1-polarized, non-neutralizing antibody responses

Nishiyama A, Adachi Y, Tonouchi K, Moriyama S, Sun L , Aoki M, Asanuma H, Shirakura M, Fukushima A, Yamamoto T, Takahashi Y. Vaccine. 2023 Jul 12;41(31):4525-4533.doi: 10.1016/j.vaccine.2023.06.019. Epub 2023 Jun 15.

MESSAGE

プロジェクトリーダー
山本 拓也

当研究室では、難病・免疫ゲノム研究センター内に設置されおり、感染症や難治性がんに対する免疫学的研究を軸として、患者還元型・臨床指向型創薬研究を推進することを目的とする研究室です。我々の研究室の強みである高次免疫学的解析プラットフォームを駆使して、非ヒト霊長類やヒト臨床検体を用いて疾患毎に多様な表現型を示す免疫応答を解き明かし、将来的には新しいワクチンや免疫療法の開発に繋げることを目指しています。

感染症研究としては、HIV、HBVなどの慢性感染症を引き起こすウイルス、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどの急性感染症を引き起こすウイルスのどちらも研究対象としており、非ヒト霊長類サルモデルとヒト臨床検体とを相互に比較しながら研究を進めています。特にサル検体を用いた高次免疫解析技術については、他に類を見ないノウハウ、抗体ライブラリとデータを蓄積しており、また研究所の誇る霊長類医科学研究センターとのパートナーシップにより、非臨床モデルとしての非ヒト霊長類の有用性を最大限に活用できる環境が整っています。具体的には慢性感染症に関しては、HIV-1、HBVやHTLV-1を対象に、functional cureに繋がるような新規免疫療法の開発を目指してプロジェクトを進めています。急性感染症に関しては、ワクチン開発研究を中心に進めており、常に新しいモダリティを取り入れるよう心掛けています。特に現在は、新型コロナウイルスワクチン開発ユニバーサルインフルエンザワクチン開発に力を入れており、早期実用化を意識して研究を進めています。

がん関連の研究としては、膵臓がんをはじめとする難治性のがんに対する新規がん免疫療法やがん治療用ワクチン開発を目指し研究を進めています。膵臓がんの予後は極めて悪く、全体の5年生存率は10%に満たないとも言われていますが、その最大の理由は、早期診断が難しく、治療手段が少ないという点です。その点に関しても、我々は最先端のハイパラメーターフローサイトメーターとscRNAseq等を駆使し、免疫応答を多角的に評価しています。これにより、がん病態を反映するバイオマーカーの探索を進めるとともに、有効ながん特異的免疫応答反応を見出し、早期診断系の確立と、新しい治療戦略を構築するための基礎研究を行っています。また、臨床への還元を目指した研究を行うため、臨床検体にこだわった研究を行っており、全国でも有数のハイボリュームセンターである大阪国際がんセンターをはじめとした各臨床機関と連携しながら積極的に進めています。

当研究室ではポスドク、大学院生、技術補佐員、共同研究などを随時募集しております。研究室ではいずれのテーマにおいても、常に実用化を念頭に置き、様々な製薬企業等との産学連携を進めています。アカデミアと製薬企業とがどのようにして協奏的に創薬研究を進めていくのかという実用化プロセスの一端にふれることも可能であると考えています。常に世界に向けて発信できるような研究者を育成したいと考えており、将来的に国際的な舞台で活躍できるよう、留学のサポートも含めて、積極的に国内外の共同研究にも加わっていただくように指導しています。プロジェクトリーダーの山本は大阪大学大学院医学系研究科(博士課程)、薬学研究科(修士課程、博士課程)の招へい教授を兼任しており、連携大学院制度により大学院生を受け入れることも可能です(詳しくはこちら)。上記いずれかのテーマに興味があり熱意を持って取り組みたいという希望者におかれましては、一度お気軽にラボを見学に来てください。

STAFF

プロジェクトリーダー
山本 拓也
サブプロジェクトリーダー
高濱 正吉
研究員
野木森 拓人
プロジェクト研究員
升田 雄士、西山 紋恵、翁 良徳、冨山 貴央
特任研究員
Kitiya Piboonprai、長束 佑太
研究調整専門員
片山 有紀
研究調整専門員(事務担当)
東 希
技術補助員
池田 真美、片山 有紀、安本 敦子、伊藤 彩子、渋谷 真弓、渡瀬 朋子
連携大学院生
熊本 真夢
客員研究員
高橋 宜聖、横田 恭子、吉岡 靖雄、田中 聡、佐藤 賢文、秋田 裕史、城戸 康年、
福原 崇介、田村 友和
協力研究員
嘉陽 啓之、菅原 ゆうこ、幾尾 真理子、村上 弘大、鈴木 理滋

COLLABORATOR

アメリカ
  • NIH NIAID Vaccine Research Center
  • Department of Microbiology, Immunology & Tropical Medicine,
    The George Washington University
フランス
  • 国立保健医学研究機構 (INSERM)
  • Centre d'Immunologie et des Maladies Infectieuses (CIMI-Paris), Sorbonne
    Université, INSERM U1135
  • Université de Bordeaux, CNRS UMR5164, INSERM ERL1303, ImmunoConcEpT
国内
  • 医薬基盤研 霊長類医科学研究センター
  • 国立国際医療センター 肝炎・免疫研究センター
  • 国立感染症研究所 治療薬・ワクチン開発研究センター
  • 東京大学 医科学研究所
  • 東京工科大学 医療保健学部
  • 大阪大学大学院 医学系研究科 外科学講座消化器外科学
  • 大阪大学 微生物病研究所
  • 大阪国際がんセンター 消化器外科
  • 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科
  • 九州大学大学院 消化器・総合外科(第二外科)
  • 熊本大学 ヒトレトロウイルス学共同研究センター
  • 熊本大学 国際先端医学研究拠点施設 (ICRCMS)
  • 北海道情報大学
  • 製薬企業数社
  • 日本ベクトンディッキンソン
  • VLP Therapeutics

RECRUIT

プレシジョン免疫プロジェクトでは、大阪大学大学院医学系研究科 免疫・感染制御学講座及び、大阪大学薬学部薬学研究科免疫老化制御学分野 (パンフレット「ライフサイエンスの最前線への誘い」)とも連携しており、随時、研究員・大学院生等、我々と研究をご一緒してくださる方を募集しています。 詳しくは採用情報をご覧になるか、Contactより直接お問い合わせください。

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