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  1. Section.1 高次免疫学的解析プラットフォームの整備

Section.1
高次免疫学的解析プラットフォームの整備

ヒトの複雑な免疫系の特徴を理解し、問題点等を抽出するためには、これまで以上に高度な解析基盤が必要だと我々は考えています。
そこで、当研究室では、個人ごとの免疫系や免疫原に対する応答の違いを多角的に、高解像度で解析可能な、世界トップレベルの解析プラットフォーム(高次免疫学的解析プラットフォーム)を整備してきました。

上記プラットフォームを活用し、多様なヒト臨床検体の解析から現状のワクチンや治療法の課題を抽出し、その課題を解決するような新規治療法あるいは診断バイオマーカーを、げっ歯類や非ヒト霊長類などによる非臨床試験においてin vivoレベルで検証を行い、願わくば臨床に還元したいと考えています。

◆ 高次免疫学的解析プラットフォーム全体の概要

1. 高次免疫学的解析プラットフォームの紹介

ヒトの複雑な免疫系の特徴を理解し、問題点等を抽出するためには、これまで以上に高度な解析基盤が必要だと考えている。そこで、我々は、個人ごとの免疫系や免疫原に対する応答の違いを多角的に、高解像度で解析可能な、世界トップレベルの解析プラットフォーム(高次免疫学的解析プラットフォーム)を整備した。

上記プラットフォームを活用し、多様なヒト臨床検体の解析から現状のワクチンや治療法の課題を抽出し、その課題を解決するような新規治療法あるいは診断バイオマーカーを、げっ歯類や非ヒト霊長類などによる非臨床試験においてin vivoレベルで検証を行い、願わくば臨床に還元したいと考えている。

【概要図】高次免疫学的解析プラットフォームの紹介
高次免疫学的解析の比喩的図解
高次免疫学的解析プラットフォームの概要

◆ 各解析プラットフォームの紹介

1. ハイパラメーターフローサイトメーター(分析用)

フローサイトメーター:血液や組織分散液中の細胞のタンパク質の発現量を、シングルセルレベルで一度に分析する装置。蛍光標識抗体等によりマーカー分子の発現パターンを分析することにより、細胞のサブセットを詳細に分類し、計測できる。ハイパラメーターフローサイトメーターは、一度に30種類以上の分子を評価できる最先端のフローサイトメーター。

【概要図】ハイパラメーターフローサイトメーター(分析用)
ハイパラメーターフローサイトメーター(分析用)

2. ハイパラメーターセルソーター(細胞分取用)

セルソーター: 血液や組織分散液中の特定の細胞集団を、蛍光標識抗体等により個々の細胞をラベルし、タンパク質の発現量を指標に生きたままクリーンな環境で分取する装置。ハイパラメーターセルソーターは、一度に30種類以上の分子を評価できる最先端のセルソーター。分取した細胞は、それぞれ細胞種に応じたアッセイに利用可能。

【概要図】ハイパラメーターセルソーター(細胞分取用)
ハイパラメーターセルソーター(細胞分取用)

3. BD社のMicrowell ベースのscRNAseq / AbSeq

シングルセルRNAシークエンシング (scRNAseq) 用ライブラリ作成装置: 血液や組織分散液中の細胞一つ一つの遺伝子やタンパク質の発現量を、シングルセルレベルで網羅的に分析する装置。BD社のものは細胞一つ一つが、microwellにより区画化され、その区画ごとに遺伝子バーコードをつけることにより、個々の細胞を区別できる仕組み。

【概要図】BD社のMicrowell ベースのscRNAseq / AbSeq
BD社のMicrowell ベースのscRNAseq / AbSeq

4. 10xGenomics社のドロップレットベースのscRNAseq

シングルセルRNAシークエンシング (scRNAseq) 用ライブラリ作成装置: 血液や組織分散液中の細胞一つ一つの遺伝子やタンパク質の発現量を、シングルセルレベルで網羅的に分析する装置。10xGenomics社のものは細胞一つ一つが、液滴(droplet)により区画化され、その区画ごとに遺伝子バーコードをつけることにより、個々の細胞を区別できる仕組み。

【概要図】10xGenomics社のドロップレットベースのscRNAseq
10xGenomics社のドロップレットベースのscRNAseq

5. 次世代シーケンスプラットフォーム

次世代シーケンスプラットフォーム: 次世代シーケンス解析用のライブラリの品質チェックや、RNAseq、TCRレパトア、HLAタイピングなどの長鎖配列のシーケンスが可能な一連のプラットフォーム。

【概要図】次世代シーケンスプラットフォーム
次世代シーケンスプラットフォーム

6. セミオートマチック組織切片分析プラットフォーム

組織切片分析プラットフォーム: 手術等により得られた固定された切除組織片から、切片を作成し、免疫染色までの一連の煩雑な過程を、セミオートマチックに行うためのプラットフォーム。

【概要図】セミオートマチック組織切片分析プラットフォーム
組織解析の血液解析との違い

HistoCore PEARL / HistoCre Arcadia H
Leicaが開発した高性能の自動組織処理装置で、標本の脱水、浸透、浸漬、パラフィ包埋の各工程を自動化でき、高品質で再現性の高い標本の作成を可能とする。

HistoCore AUTOCUT R
Leicaが開発した高速かつ高精度な自動切断機能により、切片の処理を簡素化し、手動操作による切片作成に比べて効率的に作業を進めることができ装置。これにより、高品質で再現性の高い切片作成を実現することができ、大量のスライドを高速かつ効率的に処理することができる。

LeicaのBOND RX
LeicaのBOND RXは、全自動免疫染色装置で、免疫染色のための試薬の自動供給、切片の自動処理、自動染色、自動除去、自動乾燥が可能です。

組織切片分析プラットフォーム: 手術等により得られた固定された切除組織片から、切片を作成し、免疫染色までの一連の過程をセミオートマチックに行うためのプラットフォーム。

【概要図】セミオートマチック組織切片分析プラットフォーム
セミオートマチック組織切片分析プラットフォーム

7. 微小環境マルチプレックス Spatial解析システム

微小環境マルチプレックスSpatial解析システム: 組織切片を、多数の核酸バーコード標識抗体で同時にラベルし、その後、対応するバーコード標識蛍光色素の着脱を繰り返しながら検出することで、同一切片における多数のマーカーの発現を検出・解析するシステム。

【概要図】微小環境マルチプレックス Spatial解析システム
微小環境マルチプレックス Spatial解析システム

8. T細胞機能解析プラットフォーム

T細胞機能解析プラットフォーム:インキュベーター内で培養中の細胞を24時間以上のリアルタイムイメージングし、各種細胞機能の定量が可能なマルチウェルイメージング装置(IncuCyte)、細胞の代謝応答やミトコンドリア機能変化を経時的にモニタリングできる装置(Seahorse)、細胞膜表面タンパク質や細部構造について、蛍光標識画像を取得できる特殊なフローサイトメーター(ImageStream)など、詳細なT細胞機能解析系を整備している。

【概要図】T細胞機能解析プラットフォーム
T細胞機能解析プラットフォーム

09. 分子精製プラットフォーム

分子精製プラットフォーム: リコンビナント抗体や蛍光標識プローブなどの人工タンパク質の分離・精製用のクロマトグラフィー装置。生物製剤の開発・製造において広く利用されている。

【概要図】分子精製プラットフォーム
分子精製プラットフォーム

10. ワクチン作製プラットフォーム

ワクチン用脂質ナノ粒子作成装置と自動精製・分注用ロボット: 超高速ナノ医薬作製装置は、mRNAワクチン等に用いられる脂質ナノ粒子(Lipid nano-particle: LNP)を、クリーンな環境で任意の脂質組成で作製する装置。自動分注ロボットは、作製したLNPや核酸やタンパク質の試料を、設定した条件で自動で分注する装置。DNAやRNAの自動精製にも対応。

【概要図】ワクチン作製プラットフォーム
ワクチン作製プラットフォーム